この映画、猫が出てます

猫が出てくる映画の紹介と批評のページです

メン・イン・ブラック

全世界の黒幕「メン・イン・ブラック」。地球人から地球にいる宇宙人(エイリアン)の存在を隠し、ハイテク武器で地球を守る!


  製作:1997年
  製作国:アメリ
  日本公開:1997年
  監督:バリー・ソネンフェルド
  出演:トミー・リー・ジョーンズ、ウィル・スミス、リンダ・フィオレンティーノ 他
  レイティング:一般(どの年齢の方でもご覧いただけます)

  ◆◆ この映画の猫 ◆◆
  役:☆☆(脇役級)
    宝石商ローゼンバーグのペット
  名前:オリオン
  色柄:茶白のハチワレ
  その他の猫:パグ犬に吠えられる街の白猫


◆UFO!

 1970年代の日本のテレビは、オカルトとか超常現象などの特番の宝庫でした。正体がわからないけれどその存在が昔から信じられている、幽霊、ネッシーや雪男、ツチノコなどの未確認生物、そして、UFO、宇宙人。それらの番組は、現在の科学では証明できないけれど否定できない限りは存在するかもしれない、というあいまいな結論で終わるのが常でした。超常現象専門の雑誌の編集者の方だったか、白人男女数人が写っている写真を見せて「この人たちは金星人です」と、普通の口調で説明していたこともありましたっけ。大根の写真を「これは大根です」と言うくらいの何でもない調子で。
 今でもUFOや宇宙人の存在は否定されないどころか、地球外生命を求めて探査機が飛び回り、まだ見ぬロマンを人類は求め続けています。

◆あらすじ

 ニューヨーク市警のエドワーズ警部補(ウィル・スミス)は一人の男を追跡していたが、男は左右にまぶたが閉じる変なまばたきをして、ビルの屋上から身を投げて死んでしまう。
 その頃、郊外ではUFOが墜落し、何者かが農夫のエドガー(ヴィンセント・ドノフリオ)を襲い、着ぐるみのようにエドガーの皮を着て行方をくらます。
 警察署でエドワーズが追跡の報告をしていると、突然黒いスーツに黒いネクタイの中年男(トミー・リー・ジョーンズ)がやってきて、宇宙人の動きを監視する機関の者だと言ってエドワーズを質屋に連れて行く。黒ずくめの男は、変なまばたきの男が持っていたのと同じ銃をエドワーズに確認させたあと、光線をピカッと浴びせ、明朝ここに来いと「MiB」と書いてあるカードを渡す。
 そこは試験会場だった。エドワーズは機転で試験をくぐり抜け、黒ずくめの男にメン・イン・ブラック(MIB)として働くよう勧誘される。任務は宇宙人の存在を地球の人々から隠し、宇宙人の行動を監視することだった。エドワーズはやりがいを求め、MIBの要員となる。それまでの市民としての属性を消され、黒ずくめになり、名前はJ。いつもの黒ずくめの中年男はK。ニューラライザーの発する光線を浴びせると、宇宙人が地球にいるという記憶を消せるのだった。
 あるレストランで、宝石商のローゼンバーグこと宇宙人アルキリアン帝国の皇帝と、その家来の男が会っていると、エドガーの皮を着た宇宙人が二人を殺し、ローゼンバーグが持ってきた容器を奪って逃げる。
 遺体安置所の色っぽい検視官のローレル(リンダ・フィオレンティーノ)は、レストランから運ばれた死体が人間ではないことに気づく。ローゼンバーグの頭の中にいたアルキリアン皇帝は「戦争を阻止しろ。“銀河”の場所はオリオンのベルト・・・」と言ってJと彼女の見守る前でこと切れる。“銀河”は核融合エネルギーの宝庫で、エドガーを着た邪悪なゴキブリ型のバグ宇宙人が狙っていたのだ。
 アルキリアンからの戦艦が地球に近づき、MIBに「“銀河”を返せなければ地球を滅ぼす」と迫る。一方、バグ宇宙人は奪った容器が“銀河”でないことに気づくと遺体安置所を襲う。JとKはバグ宇宙人が“銀河”を地球外に持ち去るのを阻止すべく戦いを挑む・・・。

◆忠ニャンオリオン

 茶白ハチワレのオリオン、英語の発音ではオライオンになります。初登場は、ローゼンバーグが宝石店からレストランに向かおうとするシーン。
 茶色い皮のボストンバッグに入れられ、自らパパと称するローゼンバーグにそれはそれは大事にされている様子。そのさまをエドガーを着たバグ宇宙人がじっと見ています。レストランでは、猫はバッグに入れられたままテーブルのすぐ下に置かれますが、バグ宇宙人がウエイターに化けて主人と相手の男を殺すと、バッグから飛び出して左利きの猫パンチで応戦。しかし、逃げられてしまいます。
 健気なのは、主人の遺体に乗って遺体安置所に運ばれ、そばから離れまいとする様子。主人が息を引き取るときに悲しげな鳴き声をあげ、犬も顔負けの忠誠心を見せて泣かせます。
 「“銀河”があるのはオリオンのベルト」と聞いて、オリオン座の三ツ星のあたりと思っていたJ。ローゼンバーグの宝石店に行くと、壁には所狭しとオリオンの写真が。オリオン、オリオンのベルト・・・、オリオンの・・・? 一足先にバグ宇宙人は遺体安置所のローレルのもとにいるオリオンを襲って“銀河”を飲み込んでしまうのです。

 一作目で姿を消す地球猫・オリオンと違い、このシリーズに続けて登場する人気者は、エイリアンが変装しているパグ犬のフランク。“銀河”の秘密を問いただそうと、Kがフランクを揺さぶるところは日本映画のぞんざいな猫扱いの比ではない激しさ。人間の乳幼児だったら揺さぶられ症候群を起こしかねませんが、これ、本当にやっていたのでしょうか?  

  ◆◆(猫の話だけでいい人はここまで・・・)◆◆

      

◆忘却

 ティーンエイジャーがポップコーン片手に友だちと気楽に見るようなたわいのないSFアクションコメディですが、世界中で大ヒットし、シリーズ3作品(いずれも監督はバリー・ソネンフェルド。主役の二人も同じ)に、4番目に当たるスピンオフ作品『メン・イン・ブラック・インターナショナル』(2019年/監督:F・ゲイリー・グレイ)と、誕生から25年たつ今も愛され続けています。
 製作総指揮のスティーヴン・スピルバーグに対する支持と、いかにも職務に忠実で堅物そうなトミー・リー・ジョーンズのKと自由で型にはまらないJの主役コンビの人気によるものだと思いますが、万人の(特に大人の)心をとらえたのは、あの「ピカッ」の、ニューラライザーではないでしょうか。
 生きていけばいくほど恥と後悔の積み重なっていく人間としては、ピカッの一発で自分にとって不都合な記憶を他人の頭から消せたらどんなにいいか。「あのピカッで記憶を消せるやつ」と話すと、知っている人はたいてい楽しそうに話に乗ってきます。地球人はみな過去のことに苦しんでいるのだな、と連帯の気持ちが湧いてきます。

未知との遭遇

 宇宙人の映画と言えばスピルバーグ監督ですが、当時、持てるすべてのパワーとお金をかけて作った(はずの)『未知との遭遇』(1977年)の宇宙人にはがっかりしました。ひょろ~んとした微笑みの宇宙人はかろうじてセーフとして、宇宙船の周りでわさわさしているのは、明らかに頭に何かをかぶせて宇宙人風に見せた人間の子ども! ここまでこうやって引っ張っておいてこういう安上がり? と、どっと力が抜けるやら。ラッシュ(編集する前の映像)を見てこれはダメだと思ったけれど、あんなコスチュームまでつけて参加してくれた子どもたちや保護者への手前、ボツにできなかったのか、などと色々余計なことを思わせてくれました。

 『メン・イン・ブラック』は、CGの技術もその頃よりはるかに進歩を遂げ、ユニークな宇宙人の姿を楽しめます。ゴキブリ型のバグ宇宙人は瞳がクッキリ、子ども漫画チック。ゴキブリというよりカマキリに近い姿です。「バグ=虫」は人間生活に侵入しはびこる厄介者。たしかにエイリアンにたとえられるかもしれません。
 映画に出てくる地球外生命体は地球上の生物のデザインをなぞっていることが多いですが、実際の地球外生命体は私たちの想像をはるかに超える姿とコミュニケーション方法を備えているのではないでしょうか。2016年の、タコ型宇宙人が墨のようなものを吹いて人間とコンタクトする『メッセージ』(監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ/真面目な映画ですよ!)くらいの違いは当たり前ではないかと思います。
 そして、仮に地球人型だったとした場合、少しの違いがお互いの憎悪を生んでしまうのではないか、とも思います。たとえば、目が耳の近くについている宇宙人だとか、声がものすごく大きい宇宙人だとか、地球人に近いがゆえにその違いが次第に耐えがたくなってくるのでは? あちらの星では笑顔が攻撃のサインに取れるなど、コミュニケーションの意味の違いもあるかもしれません。

(X星人の宇宙船が地球に飛来、地球人が出迎える)
地球人「(微笑み)」
X星人「地球人が攻撃的だ! 微笑んでいる」
地球人「X星人は友好的だ、微笑んでいる」
(地球人、近づく)
はい、地球人は全滅ですね。

◆宇宙人ジョーンズ

 トミー・リー・ジョーンズと言われて顔が思い浮かばない人も、某缶コーヒーのCMの宇宙人ジョーンズと言えばわかるでしょう。あのCMシリーズは2006年から続いているそうです。この缶コーヒーのCMを見ると、会社員時代にグループ会社の若手男性社員を呼んで、新入社員の前で先輩代表として話してもらった経験談を思い出します。
 その人は大学院出のエンジニアで、工場の工程を管理する仕事。配属されたとき、現場の生産ラインで働くベテランのおじさんたちに、頭でっかちの若造とばかりに言うことを聞いてもらえなかったとか。そんなある日、おじさんの一人から「飲むか」と缶コーヒーを渡されたそうです。生産ラインのおじさんたちは缶コーヒーが好きで、休憩時間になるとよく集まって飲んでいたということ。それを渡されたとき、自分も初めて仲間に入れてもらえた、と思ったとか。
 缶コーヒーと仕事、深い関係なんですね。

◆あの人もエイリアン

 一方のウィル・スミス、もともとラッパーだったそうで、この映画の曲の「Men in BlacK」は彼が制作し、自身で歌っています。アメリカでいま最も売れっ子の俳優の一人だそうですが、2022年のアカデミー賞授賞式でビンタ事件を起こして問題になりました。最近は中年になってハートウォーミングな作品への出演も増え、丸くなったように見えていたのですが・・・。
 Jが、MIBの入国管理局を見学中に、地球上に秘かに住み着いているエイリアンとして10人の有名人の映像がモニターに映し出されます。シルヴェスター・スタローンダニー・デヴィートなどなど、小さい映像ですが、アメリカに詳しい方はぜひ全員チェックしてみてください。

 

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