この映画、猫が出てます

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『あなたのおみとり』を見てきました

 このブログでご紹介した『東京干潟』(2019年)の村上浩康監督の最新作『あなたのおみとり』を見てきました。


 監督の末期がんのお父さんを自宅で看取ると決意したお母さん、それにかかわる介護・医療関係者、葬儀関係者らの姿を見つめたドキュメンタリーです。

 水辺の命にかかわる人々をドキュメンタリー化してきた監督が、人の命、しかも肉親の死に迫った作品ですが、壮絶な生と死のドラマというような感情を揺さぶる重たいものではありません。むしろ人は死ぬべくして死んでいくのだということが腑に落ちる、客観性に満ちた映画です。
 お父さんと若い頃はあまり仲が良くなかったというお母さんが、泣いたり笑ったりの表情の変化をあまり見せない中で、容態の悪くなったお父さんに童謡を歌って聞かせる優しさ。死ぬのも悪くないような・・・。一方で、伊丹十三監督の『お葬式』(1984年)のときも感じましたが、家族に看取られ、見送られる人の幸運も・・・。

村上監督のドキュメンタリーは見た後から始まるドキュメンタリーだと思います。ドキュメンタリー作家には、訴えるものが強すぎて作品として完結させてしまう方もありますが、村上監督の作品は日常に浸透してきます。

『あなたのおみとり』は全国順次公開中。公式サイトでは、みとりや介護についての体験談も募集中とのことです。

(ちなみにこの映画に猫は出てきません)

 

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